小学校に入学して順調に学童にも慣れ、季節もいくつか越えた頃の話です。
「学童(学校の後に過ごす放課後クラブのようなもの)で一人ぼっちになっちゃうの」
ポツリ、子供が呟きました。
上級生♂が、
「他のやつは入れてやるけどお前だけは入るな」
と子供を仲間外れにし始めました。
身体も大きく快活で元気なその子には誰も逆らえず、一緒に遊んでた友達がみんなそちらに入ってしまって一人になっちゃう。
との事でした。
周囲にもリサーチした所その子に嫌がらせを受けた学童の同級生は何人か居て、その子達はことごとく学童を辞めたとか・・・。
ターゲットが消失する度に新しいターゲットを見つけ、最後に我が子に目をつけたみたいでした。
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難しい問題です。
あからさまにずっと無視をされ続けたり、仲間外れにされ続ければこちらとしても対応の仕方があります。
相手の親にも一言言ってやれるし、教育委員会、区議会、どこにだって出てやります。
その辺がドラマと現実の違う、難しい所ですね。
仲間外れにされる時もあれば、仲良く遊べる日もある。
そもそも異学年の異性と言う事で接点自体が少ない。
相手の気まぐれで嫌がらせを受ける時もある、と言う程度の問題でした。
子供は元々引っ込み思案でおとなしく、何をするにも時間がかかりました。
要領良く立ち居振舞えないRoroの子供は、幼稚園時代もちょいちょいそのような嫌がらせを受けた事があり、またRoro自身も時間がない時などは子供にイライラする事も多かったので、相手の子の気持ちがわからないでもありません。
子供には大変申し訳ないのですが、実はそう思う節もあったのです。
ちょっと位悪口を言われても例え少し位仲間外れにされても、そんなものは集団で生きる人間には付いて回る業のようなものだ。
大人同士でさえそういうことがなくならないのだから、まだ未熟な子供にはもっとあったとしてもそれは仕方ないんだ。
最初はそう言い聞かせてしまいました。
そして正直に告白すると、Roroの中にも虚栄心があったのです。
ただでさえ貧困母子家庭のまともに両親揃った家庭でないのに、このような些細な事でギャーギャー騒ぐ我が家を先生はどう思うだろう、と。
確実に自分の保身ですよね。
親として情けなかったな、と今は思っています。
でも、そんなある日、Roroはふと思ったのです。
「だからRoroの子供は嫌がらせをされても仕方ない」
そういうものなのだろうか?
引っ込み思案でおとなしい性格なのだから、子供は嫌がらせをされても仕方ない。
何よりRoroがそう言ってしまったら、誰が子供を支えてやるのか。
度重なる嫌がらせが些細なことかどうか。
それはRoroが決めることじゃなかったのに、Roroは取るに足らないことだと決めつけてしまっていました。
子供が一日の大半を過ごす環境。
そこが居心地が悪いという現実。
それを「ほんの些細なこと」だと言う母。
子供の立場になって考えれば、それは随分と酷いことだなと思いました。
それに親であるRoroがそう教えると言う事は、
「変わらない現状は諦めなさい」
そう教えているようなものだと気付きました。
そうじゃないだろうッ!!!!
Roroはすぐに学童の先生に連絡を取りました。
頻繁ではないにしろ、子供がそこで仲間外れなどに遭い、心を痛めていると。
そこは子供にとって長くを過ごす場所で、そこが居心地が悪いとなると、子供は沢山の時間「苦痛」を感じてしまう。
と。
こちらは逐一報告させて頂きますので、どうか気をつけてみてやって頂けますか、と。
同時に子供にも言いました。
嫌なことを自分の口で嫌だと言えないと言うことは、友達に自分の気持ちが伝わらないと言うこと。
貴方は嫌だと大きな声で言える努力をして欲しい。
それはきっと、これから先も大きな武器になる。
でもどうしても一人で戦えない時は、ママが味方になる。
先生にも言ってあげる。
だから、存分にもうだめだと思うまでは戦っておいで。
と。
それから先も、沢山ありました。
例えばとある男の子と一緒に遊んでた際に、
「こいつと遊んでるとお前まで仲間外れになるよ」
と子供にも聞こえる声でその子が言ってきた。
とか。
毎日「会議」と呼ばれる話し合いが行われるのだけど、自分だけその話し合いに参加する資格を与えられない。
とか。
「会議」は会員制になっており、選ばれた人間しか参加する事は出来ない。
子供の周囲の友達も最初は入れなかったのだけれど、段々子供以外の子達は会員にしてくれるようになり、最終的には子供だけその会議に入れない。
との事でした。
この辺はなんとなく組織だっていてイヤな感じがしたので、詳細を先生に報告し、「会議」と言う集団を瓦解させました。
イタチごっこのようですが、何か嫌がらせを受ける度、子供がそうやってRoroに何かを訴えて来る度に、全部先生に報告し、対応を求め、子供はこんな努力をしている、力が足りないところをフォローして欲しい、と訴えました。
その辺は低学年、先生が間に入ると一時的に収まります。
「いちいちチクるんじゃねぇ」
と子供は言われたりもしたそうですが、
「イヤな想いをしないなら、誰もチクらない」
と反論するように言い聞かせました。
(ちゃんと言えたかどうかは不明ですが)
同時に、子供にも考えさせました。
「その嫌がらせで嫌だったのは何か」
「どうしたら解決したか」
最終的にはいつも、
「そのいじめっ子が今更いじめてきた所で何とも思わないけど、周囲のお友達まで全部あっちに行ってしまうのが一番辛い」
との事でした。
なので、普段一緒にいるお友達にも、
「いつもはいじめてくる子より私と仲良くしているのに、そういう時、そうやって離れていかれるのが寂しい」
と言うような気持ちを出来るだけ伝えるような努力をさせました。
更に丁度良い機会なので、子供にもどんなお友達で居てあげたら相手は子供と友達で良かったなと思うかと考えた方がいいと諭しました。
自分が嫌だと感じた事は人にはしない努力。
大事ですね。
そんなこんながあり、
「学童だけがアナタのいる世界ではない」
と言う事を示したかった事もあり、前回の日記子供に自由は必要?! うちは放課後を選ぶ権利を娘にもあげる事にしました に繋がります。
抜本的な解決が出来たかどうかは微妙ですが、時と共に上級生のいじめっこは卒室し、子供自身も上級学年になるにつれ、そのような問題はなくなっていきました。
この件については色んな想いが交錯し、大変な時もありましたが、
模索し、子供自身も考え、色んな事を学ぶ良い機会だったなと捉えるようにしています。
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ちなみに最後まで、相手の親御さんには何も言いませんでした。
子供が何か身体的に傷ついたり、執拗な嫌がらせが途切れる事なく続くようであればその手段も考えましたが、結局そこまでエスカレートはしなかったので。
それに、言わなかったのにはもう1つ理由があります。
Roroは「我が子」が一番可愛く、それはどんな親御さんでも同じだと思っています。
そんな一番可愛い「我が子」を、よくわからない他人の親が「悪口をいってくる」「仲間外れにしてくる」と言った所で、その親御さんは、
「それは我が子が悪かった。誠心誠意謝りたい」
と思うとは到底思えなかったのです。
Roroが我が子を守りたいと思うように、その子の親御さんも、何かの手違いや、勘違いではないのか? そう思うだろうし、
「悪口をちょっと言う位、誰にでもあるじゃない」
と思ったとしても何ら不思議はありませんでした。
こちらとしてもその想いは理解出来ますし、暴力を振るわれたとか、子供が学童に行けなくなるような心の傷を負うとか、そういう決定的な事がない限りは黙っていようと決めていました。
学童の先生も誠心誠意Roroと子供の言葉に耳を傾けてくれましたしね。
結果的に、子供は成長するにつれて少しずつ自分の意見を言えるようにもなり、イヤな事はイヤだと言える様にもなってきました。
これから先、もっともっと難しく複雑な局面に立たされることもあるでしょうが、ぶつかったり転んだりしながら、一生懸命前を向いてくれる子になってくれたらいいなと思っています^^
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※この時のいざこざ、凄く色々考えたから、今の自分があると思ってる。と先日(18歳になった)子供に言われました。学童ではいつも最後まで残っている子供とその子ともう一人の3人がいて、嫌がらせされて解決した後はよく遊んだよ。と。
思えば今の子供は相変わらずののんびりマイペースではありますが、嫌な事ややりたくない事はきっぱりと断るし、理不尽な物言いには毅然と立ち向かいます。そういう事が出来るようになったのは、この時の経験があったからだと思う。。。と。
Roroはそれを聞いて、ちょっと泣きそうになりました。