シングルマザーが家を買ったお話

【シングルマザーのマンション購入記・23】怖くて怖くてたまらなかった日々のこと

投稿日:15/05/2019 更新日:

これは、貧乏母子家庭である私、Roroが四苦八苦して中古マンションを購入した体験記です。

最初から読みたい方はコチラからどうぞ。

 

 

 

 

 

随分間が開きました。

多分ここ、一番のどん底で思い出すのがちょっと辛かったので書こうと思うまでに時間がかかりました。

すみません。。。

 

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住宅ローンノイローゼ

それから数日、私は寝ても覚めてもローンの事しか考えられない日々を送っていました。

食欲もなくなり、仕事中もふと気付いては手元の電卓で家計費の計算を始めてしまいます。

 

正直、仕事どころではありませんでした。

 

 

 

何度計算して、何度答えを出しても、ふとした瞬間に何か大きな見落としがあるんじゃないかと怖くなり、また1から計算し直す。

 

子供の学費等は特に不確定要素が大きく、何度シミュレーションを繰り返しても正確な答えは出るわけがありません。

頭ではそうわかっていても、それでも不安でたまらなくなり、何度も何度も電卓をかちゃかちゃと叩きました。

 

 

 

勿論、安心できる答えなんて出てくるわけがありません。

3000万円以上のローン残高と、今の収入とはどうしたってミスマッチ。

 

 

 

 

でも、今までだってそうじゃないか。

私は自分を奮い立たせます。

 

 

私はそれでも上手にやりくりをして、低い収入なりに最大限効率良く生きてきたんだ。

 

 

だから、今回も大丈夫。

 

この新築マンションを買っても、なんとかなる!

 

 

 

 

 

そう言い聞かせて布団に入って、目を瞑ってじっと寝入る時を待ちました。

神経が高ぶって目を瞑ってるのか起きているのかさえわからなくなるような感覚の中、私はじぃっと、じぃぃぃっと身動きもせず無心になろうとしました。

 

 

けれど、いつまでもその時は来ません。

眠れない。

私はそうして何時間も、横で寝ている娘の寝息に耳を澄ましていました。

 

 

 

何日も何日も。

 

 

 

 

朝、寝たのかどうかわからないまま起き上がり、職場でとり憑かれたように電卓を叩き、上の空で娘の世話をし、布団に入って、また眠れないまま夜を明かす。

 

 

 

そんな日々を延々繰り返しました。

そして、私は決意したのです。

 

 

 

 

やっぱりダメかもしれない!

 

 

 

 

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贅沢のしすぎ

私はその週末、手付金を支払いに事務所を訪れる予定でした。

その際、不動産屋さんBさんに切り出しました。

 

 

 

「やっぱりどう考えても難しいと思うんです」

 

不動産屋さんBさんはすかさず、

「え、そうですか? そんなことないと思いますよ」

と答えました。

 

 

「つい先日も他の部屋を母子家庭の方がお買いになりましたが、あなたより全然収入は低かったです。その方はお子さんがもうすぐ働ける年になるということで、一緒に返済していく形になりました。きっとRoroさんの娘さんも後10年もしたら助けてくれるようになりますよ」

 

 

 

私も答えます。

 

「いやいや、娘は将来ここにいるかわかりませんし。住んでないのにローン払うって可哀想じゃないですか」

 

 

「まぁこれは、例えばの話です。それに、娘さんが成人されれば金銭的負担はなくなるわけですから、今より自由になるお金は増えますよ」

 

 

 

 

「そうですね。確かにそうかもしれませんが、その分手当てもなくなるってことですよね。結局収入は減るわけで、そんなに楽観視は出来ません」

 

 

自分で言っている言葉に、ずいぶん身勝手だなと思っていました。

 

散々ローンが通らない時に、

「手当てだって収入に換算してくれたらもっとローン枠も広がるのに! 」

なーんて言っていたのに。

 

同じ舌で、今度は母子手当や児童手当なんてアテにするなと言っている。

 

方便ばかりだなと自己嫌悪を感じていました。

 

 

 

 

不動産屋さんBさんは更に切り出します。

「贅沢のしすぎではないですか? 」

 

 

私はびっくりしました。

 

「それだけお給料があって、諸手当があって、それでも不安に思うなんて日頃よっぽど贅沢をしているんですよ」

 

そういいながら、一つ一つ不動産屋さんBさんは解説していきます。

食費がこれくらい、携帯がこれくらい、光熱費がこれくらい、、、、。

 

その数字を追っていくと、確かに、慎ましやかではありますが暮らせないことはないような気がしました。

 

「ね? そりゃ毎週遊園地に行ったりと豪遊は出来ないですが、どこのご家庭もそんなもんですよ。そうやってお家を買うんです。Roroさんにもそういうチャンスが今目の前に広がっているわけですから、それを掴まない手はないでしょう? 」

穏やかな物言いで、確信に満ちた顔でそう説得されると、なんだかそんなような気がしてきます。

 

 

 

私は私なりに慎ましやかに節約を忘れずに生きてきたつもりでいた。

けれど、子供のため、子供のためと言いながら沢山の場所に出掛けてきたのもまた事実。

そういうものを今一度見直すことで、もしかしたらこの家も購入できるのかもしれない。

 

 

寝不足で朦朧とした意識の中で、私はそんな考えに傾きました。

 

 

 

 

「もう一度ゆっくり考えることはできませんか」

私は聞きました。

不動産屋さんBさんは優しく笑って首を振りました。

「それはあなたの為になりません。早く決断をした方が、自分も覚悟が決まって楽になるはずです」

 

つまり、ここで即決を迫られているということでした。

実家の父に相談、、、とか一旦落ち着いてから、、、とか色々言いましたが、全て優しく首を振られました。

 

 

 

 

「どうしますか? ローン審査、やっぱりやめておきますか? 」

私は迷いました。

 

 

 

目の前にあるごちそうを取り上げられたような、凄く寂しくって悲しい気持ちがしたのを覚えています。

 

私は結局、首を振りました。

手付金10万円を差し出し、ローン審査申込書を書きました。

 

 

 

凄く怖かったです。

そんな自分を、

「まずは通るかどうかが大前提。ほとんど望みなんてないローン審査前に、何をこんなに思い悩んでいるんだろう」

と言い聞かせました。

 

 

 

今思えばおかしいですよね。

ローンが通らない事を、私は願っているのですから。

その時にそう気付くべきでした。

 

 

 

ところが。

 

 

不動産屋さんBさんは、

「ローンは十中八九通りますよ」

とさらりと言いました。

 

 

凄く含みのある言い方で、私は今すぐにでも書類を書くことを放棄したかった。

 

でも出来ませんでした。

 

 

何がそんなに怖いのか。

ローンを通すことも勿論、私はなぜか、不動産屋さんBさんの事も凄く怖く感じていました。

 

 

 

でも誰にも頼れない。

今ここで判断しなければならず、そこには私しかいませんでした。

 

 

 

 

事務所を訪問して3時間以上経過して、私はやっと外に出ることができました。

 

「良かったですね。きっと今夜からゆっくり眠れますよ」

と不動産屋さんBさんは励ましてくれたのでした。

 

 

 

 

続編を更新しました→(【シングルマザーのマンション購入記・24】新築マンション買うよって言った先の実家の反応と決断

最初から読む→(【シングルマザーのマンション購入記・1】年収がびっくりする程低いのに、「買おう! 」と決意した話

 

 

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執筆者:


  1. ikumi より:

    マンション購入記の続き楽しみにしていました!
    すっごくわかりますね、言いようのない不安と、誰にも頼れない状況。。
    私はもっと額が低かったので、こどもへ残せる資産に!というのが決め手で決めましたが。
    結果リフォームで小さな夢も叶え、楽しみながらも、初めてのこどもとの2人暮らしに収入も時間の使い方も不安な引っ越し直前の今です^^;

    • tokipaparoro より:

      iKumi様
      ありがとうございます(*^^*)
      なかなか書く気力が出なかったのですが、
      やっとこさ書くことができました。
      こんな拙い購入記を楽しみにして下さってありがとうございます。

      手取り12万かそこらの私に、ローン返済10万近くの壁はかなり手強く、しかもそれが35年続く、、、恐怖でしかありませんでした。
      身の丈ってやっぱりあるんだな、それって凄く大事なんだな、と当たり前の事に初めて気付いたような感じです笑。
      でもこの経験があるから今の私がいます☆
      どうぞ続きも読んでくださると嬉しいです♪

      ikumiさんもいよいよお引っ越しなのですね。
      ローンは大変ですが、充実感も増しますし、地道に前を向いていれば絶対に良かったと思えるはずです(*^^*)
      お互い楽しんでいきましょうね♪

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人間死ぬ気になればなんとかなるさ! と決意して離婚。 気付いたらドタバタで10年!Σ( ̄□ ̄;) 離婚してからの波乱万丈、苦しくも楽しかった日々と生活の知恵、それからシングルマザーとして生き抜く為のノウハウを、ファイナンシャルプランナー資格を持ったRoroが綴ります。



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