これは、貧乏母子家庭である私、Roroが四苦八苦して中古マンションを購入した体験記です。
最初から読みたい方はコチラからどうぞ。
Sponsored Link
契約解除に至るまで
さぁ、誰も望まない契約解除。
あのマンションは私は要りません! と宣言する手続きをしなくてはいけません。
きちんと解除できるか、何か難癖をつけられたりしないか。
違約金、その他金銭的な負担を求められることはないか。
私はとても怖かったのを覚えています。
「何があるかわからない。一応録音しておけ」
と兄は言いました。
年収300万にも満たない会社員に、3000万円以上のマンションを買わせようとする。
それだけでも世間的に考えれば十分おかしい。
ましてやそれで住宅ローンの審査がおりると言う。
そんな会社は普通に考えてまともな会社じゃない。
というのが兄の考えでした。
確かにそうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
でも、トラブルは極力回避するに越したことはない。
私はスマホに録音アプリを入れ、カバンの口を開けたまま契約解除に挑むことにしました。
正当な録音でないと証拠にはならないことは知っていましたが、
「念のため録音させていただきます」
と言い出すことは私には無理そうでした。
その日、不動産屋さんの事務所を訪ねると、ガランとしていました。
今まで他の社員さんや他のお客さんが隣のブースで出たり入ったりしていたのに、今日はひとっこ一人いません。
不動産屋さんBさんだけでした。
「そんなに思い詰めていらして、気付かずに申し訳ありませんでした」
開口一番彼はそう言いました。
いえ。
と私は短く返しました。
が、違和感が残りました。
だって彼は私が思い悩んでいたことを、知っていた筈ですよね?
眠れない事も、どう考えてもミスマッチであることも伝えていました。
それに、ここには書いていませんでしたが、あんまりにもぐだぐだと思い悩む私に、
「こちらも仕事です。話が二転三転されては困ります」
と言うような事を言われたこともありました。
(その時はそれどころじゃなく、大きな買い物なんです。悩んでも仕方ないでしょうというようないい返しをした記憶があります)
それなのに、
「気づかなかった」
と言う。
何だか腑に落ちません。
きっと、法的な責任を問われた際に困らないようにするノウハウなんだろうな。
そんな事を私は思いました。
でも、おかげで黙って録音している罪悪感を少なからず持っていた私は、その対応にその罪悪感を相殺出来、ホッとしたのを覚えています。
お互い様じゃないか。
そこからはスムーズに契約解除まで事が運びました。
いくつかの書類にサインをするだけ。
でも、ただサインをしていった結果、3000万円以上のローンを組み、その責任を負うという経験をしそうになった事から、やみくもにサインをすることがどうしても怖くなり、一生懸命細かい文章を追ってしまいました。
おかげで終わる頃にはすっかり疲労困憊。
目がチカチカしました。
そして最後に、
「手付金の10万円ですが、出来るだけ返却出来るよう上と交渉いたしますね」
と言うような事を言われました。
私はびっくりしました。
以前ファイナンシャルプランナーの資格を得るために勉強していた時は、手付金を放棄する代わりに契約解除が出来る、と覚えていたからです。
しかもこちらの一方的な解約なので、返して貰えるわけもないだろうと思っていたのです。
思わず、
「それは別に要りません」
と返してしまいました。
不動産屋さんBさんは少し驚いた顔をして、
「え、いいんですか」
と聞いてきました。
そう言われると惜しくなってくるのが人情・笑。
「じゃぁ、期待はしていませんので返却されるようだったら連絡を下さい」
と返しました。
まぁ、当然返っては来ませんでした。。。。
高い勉強料だと思う事にします。
Sponsored Link
諦めの涙
全てが終わった時、とてもホッとしました。
これでローン残高を気にして眠れない日々ともおさらばだと思うと、嬉しくさえありました。
と同時に。
ホッとする自分が情けなくて、涙が出ました。
結局は、自分のせいなんだな。
私は家を買うと決めてから初めて、そう痛感したのです。
今までいくつもいくつも壁を感じて、うまくいかない現実に嘆いて来ました。
でもそれは、ローンが組めないような社会の仕組みだったり、丁度良い物件が出てこない事だったり、全ての原因は「自分じゃない何か」のせいにして考えていたのです。
けれど、実際、最後には自分の言う通りの条件でマンションを手に入れるチャンスがめぐってきた。
新築でぴかぴかな物件。
通常組めないようなローン残高でも通ると言ってくれる会社。
今までの不平不満が全て打ち消せるような条件が揃った時、それでも自分は思い切って一歩を踏み出せなかった。
これが答えなんだろうと思いました。
家が買えないのは、他の何でもない、自分自身のせいなんだな。
私は初めてそう思ったのです。
そしてそう思うと、不甲斐ない自分が情けなくて、涙が出ました。
世の中のゴマンと言う人が普通にやってきている事を、自分が怖くてしり込みしてしまう。
その覚悟も、その土台も、自分には持ち合わせていない。
持ち合わせていないのに、ただ虚勢を張って「家を買う! 」と豪語していただけなんだ。
私はこの日から、物件情報を探すのを止めました。
どんなに良い物件があったとしても、それは私が買えるものではないから。
一旦スタート地点に戻ろう。
涙ながらに、そう決意したのです。
続編を更新しました→(【シングルマザーのマンション購入記・26】そしてなんにもなくなった・・・そこから私がした事)
最初から読む→(【シングルマザーのマンション購入記・1】年収がびっくりする程低いのに、「買おう! 」と決意した話)
力強いシングルママさんが沢山居ますよ^^ ↓